ターゲティングができてないとどうなるの?
ビジネスにおいてお客様のニーズをしっかりと把握することはもっとも重要な要素の一つです。
つまり、ターゲティングがビジネスの根幹を支えているといっても過言ではありません。
ビジネスを「アイディア勝負だ」とか、「センスがある、ない」とかいう前に
そもそもお客さんありきのやり取りであること、お客さんに満足してもらうことで初めてビジネスとして成り立つということを改めて心に留めて置くことが大事です。
ビジネスをする上でターゲティングの重要性がわかっていないと独りよがりな商品を展開してしまい、お客さんが欲しいものとは全く違うものを提供してしまうのです。
これではリピーターになる顧客ができないどころか、最初の購入にすら至らないでしょう。
ターゲティングのミスとしてよくあるもので「中央値や平均をとってしまう」というケースがあります。
平均的な数値を当てはめることは一見すると良さそうですが実はそうではないのです。
例えば30代の平均年収が450万ほどだったとします。
だからと言って「30代のターゲットで年収が450万ある」というような決め方をしてはいけません。
もしかしたら男性は480万、女性は380万といったように性別で開きがあるかもしれない。
31歳男性で400万、39歳男性で490万といったように年齢で開きがあるかもしれない。
営業系なら500万、接客販売で360万といったように職種で開きがあるかもしれない。
このように30代の平均年収が450万であることと、実際のターゲットの年収がどうかということは必ずしもリンクするものではないのです。
それは黒いTシャツを好むお客さんと白いTシャツを好むお客さんがいる市場で、「間をとってグレーのTシャツを販売しよう」といっているようなもので
どちらのお客さんにも全く相手にされない商品を作ってしまう可能性があるのです。
もしあなたがこれからビジネスを始めようと思っていたり、ターゲティングについて興味があるのであれば
失敗しないターゲティングを正しく学ばなければいけません。
失敗しないターゲティング
そもそもターゲティングとは、自分の商品を購入してもらえる客層を絞り込むことです。
事業を行う上では自分の事業に対して興味を持ってくれるお客さんを集めなければいけません。
世の中の市場は多様なニーズを持っているので、市場の全てのお客さんに対応しようとすると、
一人一人へ対応するための労力や全員にアプローチするための広告費など、コストが必要以上にかかります。
更に言えば客層によって提案の響き方も違うので大きな効果も期待できません。
「全てのお客様に提供したい」というのは聞こえはいいですが、
事実上ターゲット設定がなされていないということがよくあります。
その場その場でバラバラに「ターゲット像」を解釈してしまい「施策が散発的になりやすい」という弊害が起こり得ます。
また、様々なライフスタイルや価値観を持つ人々を一括りにしてしまうため、伝えたいメッセージの焦点が絞れなくなります。結果的に差し障りのないような「誰にでも当てはまるメッセージ」になり、誰にも響かない言葉になってしまうことも少なくないでしょう。
上記のような弊害を起こさないためにもターゲティングを行う上での戦略としては、客層を絞り込む必要があります。
自社の製品に最もニーズがマッチしている客層を見つけ、その層に集中して対応やアプローチをしていくことで
効率的にお客さんを集めることができるのです。
今回はターゲティングの仕方、ターゲットの決め方で意識すべき3つのポイントについて解説していきます。
それぞれ「セグメンテーション・ポジショニング・ペルソナ設定」の3つです。
1.セグメンテーション
前述のように市場には様々ニーズがあり、様々なタイプの顧客の集合体と言えます。
その中で同じ属性のニーズを持つ顧客をグループ化し、市場を細分化することを「セグメンテーション」と呼びます。
例えば、飲食店を始めるとしても
- 「安いものがいい」という顧客
- 「価格は高くても高品質なものがいい」という顧客
- 「いつも行く店で今日のおすすめを買う」という顧客
など、様々な属性の顧客が存在します。
セグメンテーションの際に用いられる分類の切り口は様々です。
年齢別・性別等といった「人口動態変数」が代表的な切り口として用いられます。
セグメンテーションと、今回の本題であるターゲティング、
あとでお話しするポジショニングという3つの項目で構成される「STP戦略」というものがありますが、
セグメンテーションで細分化したセグメントを評価し、そのうちのどこを「ターゲット」とするのかを決めるのでターゲティングをする上ではまずセグメンテーションをしなければいけません。
2.ペルソナ設定
上記のセグメンテーションによってセグメント化された顧客の中で、
最も魅力的な顧客群をターゲット顧客とします。
基本的には自社の製品を最も魅力的だと評価してくれる顧客は誰か?という視点で
ターゲットを絞り込むと良いでしょう。
更にそのターゲットを一人のレベルまで落とし込むためにペルソナ設定をします。
ビジネスでは、「ペルソナマーケティング」という重要な言葉があります。
仮想客 ( ペルソナ ) の設定をして、
その人が購入する過程を想像し、商品を提供するマーケティング設計をする
というものです。
このペルソナ設定は、決して「自分の売りたい商品のために都合のいい見込み客を設定する」のではありません。
実際に自分が知っていたり、実感があったり、話したことがあったりするお客様を想定して、実際起こりうるだろうことを予想して設定するものです。
例えば、無農薬の野菜を販売するとしたら、
「高品質なものが好きでお金には余裕のある主婦」というターゲティングができそうです。
そこからペルソナ設定をする際のポイントとしては、「顧客の現実」をできるだけ具体的にイメージすることです。
ペルソナは何歳で性別は男なのか女なのか。どの様な仕事をし、どの様な所に住んでいるのか。
毎日何時に起きて、どの様な事を考え、どういう1日を過ごしているのか。
など一人の人物像がイメージできるように具体的に考えて見ましょう。
3.ポジショニング
前項で少し触れましたが、STP戦略の「P」が「ポジショニング」です。
ポジショニングとは設定したターゲットから見て
「そのブランドならではの独自性・USP(ユニークセリングプロポジション)」を見出し、
築き上げていく取り組みを指します。
新規顧客の獲得はもちろん、顧客のリピート率の高いブランドを育てるには
「誰にとって」「どのような役割を持った」ブランドなのかを明確にする必要があります。
この「誰にとって」がターゲティングであり「どのような役割を持った」がポジショニングになります。
「ポジショニング」「USPを持つ」ということは「他社との差別化をすること」とおもわれがちですが、
本来の目的は競合ブランドと比較して優位に立つことではなく、
生活者から見て「ほかに替えられない」独自の役割を持った存在になることと言えるでしょう。
上記の3つのポイントを意識することで「失敗しないターゲティング」を実行することができるようになります。
これから新しく事業を始めようという場合は必ず意識してみましょう。